2021年の大晦日から

2022年の元旦にかけての一晩は

やもするとキャンプをやめたくなるような

そんなキャンパーもいたのだと思う。







何せこの一晩の風雪ときたら

キャンプ場の景色を完全に変え

年越しをする少なくとも三張りの

テントが潰されたわけだから。

批判を恐れず言うならば…

雪中キャンプはなめてはいけないという事。

流行りだから、皆んながやってるから

果ては格好良く見えるからと

軽い装備、安過ぎるテントで望む人には

もれなく手痛い仕打ちが待ち受けていた。







後にオーナーから伺った話では

キャンプ継続ができなくなったという理由で

数組のキャンパーがこの地を去ったとの事

ビギナーこそちゃんとした装備で

望むべきと思う。







それほどの風雪の中、我が家のBAHARIは

それでも盤石

雪の壁に緩和された風がこの幕を

倒壊に追い込む事はなく

雪で潰され幕の中が狭くなる事もない

雪に阻まれた設営だからこそ

シワを作らないキチンとした設営がものを言い

まるで何事もなかったかのような

朝を無事迎えたのも束の間

そんなテント内では気づくはずもなく







外に出るや否や状況の余りの悪さに

むしろ武者振るいする私がいた。

あらゆる場所に雪が入り込んでおり

テントが三分の一近く埋まっている。

最低でもペグ位置を露出させるために

元旦の早朝は雪かきに追われる事に。







雪中においてこのペグ位置の確保は

とても重要でこれを怠ると

万が一気温が上がった際

溶けて凍ってを繰り返し

撤収で地獄を見る事になるから。







そういう意味ではこの元旦の朝の雪かきは

一つのターニングポイントでもあり

これを怠った人にはもれなく手痛い仕打ちが

待っているのが豪雪キャンプ



車の雪下ろしを済ませると

運転席側は完全に雪で埋まり

乗り込むことができなくなった。







食料は十分、飲み物酒も十分

温泉には徒歩で行けると考え

この運転席側の雪かきは諦め

この日は運転も諦めた。







何せ雪かきをしている間に吹雪に見舞われ

何も見えないし掻いても掻いても

直ぐに雪が積もり目処が立たない。

この頃には掻いた雪は背の高さまで達した。







雪が小康状態になるたびに

雪かきに励む元旦の午前

こんな正月があったっていい。


気温は上がるより

下がった方が何かとありがたかった。

雪解けの方が数段厄介な事になるし

アウターは叩けば雪が落ちるので濡れずに済む。







ここまで吹雪き冷えれば

幕の中に閉じ籠るキャンプしか

そもそもできないわけで







心の整理もつくというもの。

本音を言うとここまでの二日半の長時間

幕に閉じこもるキャンプ自体に

少し息苦しさを感じる自分がいて

例え、それが雪かきであっても

外で過ごす事は息抜きの一つだった。







それにしても…

元旦のこれは笑うしかない

トイレに行くたびに前を向こうと

気を引き締める。







最悪の状況と言うのは

この後、良くなる前兆だから







それがキャンプ







そうは言っても

BAHARIの中は快適を

絵に描いたような空間であり

悲壮感漂う外の景色とは正反対に

お節料理までもがキチンと並ぶ

正に最高のお正月の風景

こむぎは相変わらず特等席を確保

幸せな正月そのもの







蒲鉾に伊達巻、卵焼きに有頭海老







ストーブトップには

カレイの煮付けに筑前煮







普段、洋食寄りの調理をする妻の本領発揮

実の所、妻は和食を得意としている。







お節に飽きたならコーヒーを淹れ







この一杯を飲み終えたなら

選手交代で妻がテント裏の除雪と

凍りついた窓の氷とツララ撤去に出た。

BAHARI後方下部は70cmもの

雪で埋め尽くされていて

この雪を放置していると今度は

結露地獄が待っている。







通常あり得ない高さから

雪かきが振り下ろされ

どんどん後方の雪もどかされて行く。







へばりついていた巨大な氷







後ろで雪かきに励む妻に気づき

こむぎは棚に登りお飾りに紛れ

これを応援をする







忙しない正月はこうして

体力アップに勤しむ正月となった。

ひと汗かいた後の乾杯は



シメイグリーン







150年の歴史を誇るトラピストビールシメイ

新たにラインナップに加わったグリーンは

サッパリ目の正月料理に非常に良く合う

因みにシメイをはじめとしたベルギービール

その深い味わいは

1980年代にマイケルジャクソンが

世界に広めたとwikiには記述がある。

我が家はいつものM君からいただいた。



そして新年一杯目のウイスキーは

カリラ12年







迷いに迷った新年の一杯目は

保険のいらない確実なモルトで

今年もウイスキー三昧のキャンプに

なる事を祈念する。







シングルモルトをロックやストレートで

飲む時にいつも思う。

このウィスキーが仕込まれた12年前は

何をしていたかなぁと。



まさか新年早々の荒天予報に

撤収の心配をする事になるなんて

考えもしなかった頃。


このタイミングで

管理人さんからご一緒しましょうとお誘いが







二杯目のスモークヘッドを一杯あおり







吹雪の中お土産として持参

すると管理棟では既に常連さん方が集まり

酒盛りが始まっていた。







キャンプ場を開いた経緯や

ご家族の話、昔のキャンプの話など

日角オーナーの気さく過ぎる

キャラクターが楽しい元旦の夜

このキャンプ場に人が集まるその理由が

よぉく理解できる極上の夜となった。







小一時間ほどで管理棟を後にし

BAHARIに戻る







薪ストーブの火はほぼ落ち

熾火となっていたため今夜は薪を節約

アルパカストーブで暖を取り







2022年の楽しい元旦を終えた。







ちょっと飲み足りなかったかなぁ


それがキャンプ




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