数種の野鳥の囀りも少なくなってきた。

開けっ放しのCABANONのドアから吹き込む風は

次第に緩くなりカーテンはゆっくりと揺れている。







夫婦二人のサイトではそら豆が

皮ごと焼かれ食べ頃になっていた。







この時期はこれを「アッチィアッチィ」と言いながら

皮の中で蒸された薄皮を剥かずに

塩だけで食べるのが美味い。

そら豆の後は、タイマグラでご一緒したyaeさんより

いただいた大好物の鳥はらみ焼き







イタリアでは人の味覚とは別にもう一つ

食感という感覚が人の五感(六感)の一つになっていると

知人の博識な酔っ払いオヤジが言っていたのを思い出した。

つまり食感というものを大事にしているとそういう事。

「あ〜確かにアルデンテなんて単語は日本語にはないかもね」

当時そんな返答をしたのだけれど

バリカタとかハリガネとかコナオトシなんて表現は

造語にしてはよく出来たイタリア人もびっくりの

九州方面のラーメン用語もあるよなぁ

口には出さず日本語のボキャブラリーは

その上を行ってると思ったものだったけれど

そんな思考がついぞ頭をめぐるほど食感が良く

美味いのが鳥はらみ。







この営地最高の時間の序章は

夫婦二人和気藹々と酒呑みに耽る幸福な時間だった。

炊事棟の奥にあるトイレに通うようになり

一旦、酒呑みはストップ水を飲みクールダウンをする。

アレが始まったからだ。







炊事棟の柱がオレンジ色に照らされ出した。







キタキタキタ







眩しさに目を細めながら

安達太良連峰の稜線に沈み行く夕陽にうっとり







毎年、日本海に沈む夕陽旅をしていたものだったけれど

ここの夕陽を見てからというもの







そのこだわりは能動的なものではなくなってしまった。

「今回もいいもの見せてもらったな。」







そしてブルーアワーの訪れを待つ。

ランタンのプレヒートが終わり

ポンピングをすると…数回でスポッ！！

ウゲッ！

ポンプカップが取れてしまった。







久々のハプニングだが気を取り直して

増し締めをしプレヒートをやり直す







ランタンの着火が済むと

素晴らしいグラデーションに包まれていた。

仄かな夕焼けブルーモーメント

こんな景色の中にいる自分を客観的に感じてみる

なんと幸せなことか…。







月が太陽の後を追いかけている。







再び夫婦二人の小さな宴席が始まった。







このキャンプ本命のグレンロセス

ストレートで一杯やって氷を入れた。







深く複雑な味わいには

シナモン、蜂蜜、メロン、バニラの風味が

次々とやって来ては長い余韻となって行く。

氷で加水されるとスパイシーさが薄れ

甘さが際立ち香りは一層強くなった。







ハイボールで飲むには

もったいないくらいの贅沢に違いない







この一杯が締めの一杯となり







CABANONの中に用意した二次会用の酒に

手が伸びる事なく就寝となった。



夜中トイレに目覚めると眩いほどの

星空が広がっていた。

「あぁそういやここは秋口に星空鑑賞会とかやってたっけなぁ」



思っただけで眠気に逆らうことはない。

またいつでも来れるから。







翌朝は昨日にも増して快晴の空

時間帯を問わず満足をくれた

この景色とキャンプ場に感謝を捧げ撤収とした。

こんな事の繰り返しが今とっても幸せに感じる


それがキャンプ




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