三月三日 天気不良、体調はと言えば

惨敗だった二月とは打って変わって

激務の月初に悲鳴をあげていた。







こうなると次の営地…自ずと条件が浮かんでくる。

身体を癒すための温泉併設である事

水捌けの良い芝のフィールド







雨キャンプだからこそ普段以上の

楽しみがある事。

「そう言えば今季はまだ行ってなかったアソコにするか」







こうしてやって来た海沿いの営地。

霞がかっているが数キロ先の水平線に迎えられた。







本来はBBQ専用のコンロとして

サイト外に設置されている焚火サークル分も料金を支払い

交渉の末、特別に許可を頂き毎度毎度の

タープ下 直焚火キャンプが成立するのがこの営地







到着した途端に雨が降り出し

小雨の中の設営となった。

この時点で予報は二日間共に雨だが

風はなく撤収日は晴れるという予報だった。


結果は惨敗となるがこの時点では

泣いて止まない重苦しい空とは裏腹に

この二泊三日を楽しむぞという

前向きな夫婦二人だった。







TATONKA1TCの大きな屋根の下

焚火サークルに火が入る。

昨年まで広葉樹薪だったのだが

今季は焚き付けバタ薪の様な杉薪となり

火の高さを抑えつつ頻繁に杉薪をくべるタープ下焚火

これも経験とばかりに楽しむ事に。







このところ続いていた四月並みの気温が

嘘の様に涼しい雨のキャンプは

こうして焚火で暖められて行った。







TATONKAを叩く雨音は大きくなったり小さくなったり

時折遠くの方からバスドラムほどの周波数のドーンという音

工事か何かかと思ったが、これは潮騒だと妻に教えられた。

風はなく完璧な雨キャン焚火成立の事実は

大きな大きな満足をくれた。







BIALADDINと焚火の暖色の灯りに包まれる夕刻

犬の散歩に訪れる人もこの日はおらず

夫婦二人静かな雨の夕景を楽しめた。







「さぁてサッサと温泉浸かって乾杯にしよっか」

焚火の前にいると根っこが生えた様に

動かなくなってしまう私を妻が牽制する。

幸いにも薪は杉薪

あっという間に燃え尽きた。







温泉から戻り、このところ定番化している

ランブルスコで乾杯を







足りなくなったら困るからと

今回は赤ワインをもう一本持参していた。







妻は本来、大の苦手なのが赤ワイン

美味しい飲みやすいを重視して持ってきた

サルビアーノトゥルロ

美味い美味いと妻はガブ飲みをする。

そんな姿を見て気付いてしまった。







赤ワインが不味くて嫌いなのではなく

ビールやレモンサワーの様にガブ飲みしてしまうから

酔ってしまう(だめになってしまう)だけという事実 笑







注いだ矢先に一気飲みして「もう一杯」

とグラスを差し出してくる妻。

「ワインは男性が注ぐものなんでしょ」

妻と付き合い始めの頃、空のグラスに気付き

私にワインを注ごうとした時に

それを制してマナーとして私の方から妻に注ぎ返すために

私が言った台詞をヌケヌケと言う妻。







「欧米では一般的にそうなんだよ俺は日本人だから」

…と掌返し。

そんなたわいないやり取りの繰り返しが楽しい夕べ。







私はと言えば、妻にワインを飲まれてしまい

モルトに手を伸ばしていた。







久々のラフロイグは

雨焚火でも美味さ健在。

この一本が燃え尽きたら幕に入るとするか







気づけば21時を回っていた。







時を忘れ







気付けば三時間が経過

焚火を囲む楽しい時間は

いつだって一瞬のうちに過ぎ去って行く







寝酒のモルトを傾けシミジミと感じるままに言葉が出た。

「雨キャンプも条件が揃えば楽しいよなぁ」


それがキャンプ




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