車の免許を取ったばかりの頃、嬉しくて深夜のドライブしたものだった。

当時、流行り始めだったピザ屋のバイトを終えた23:30

中古で買った赤いクーペに乗って走り出す。

行先の選択肢は三つ、海・山・街

目指した先は、決まって夜景が綺麗に見渡せる高台だった。







海なら港か空港付近、山なら泉ヶ岳、街なら国見ヶ丘や某国立大学の屋上

助手席には残念ながら可愛い異性が乗ることなんてほぼなかったが

夜に煌めく光を眺めながら友人達と色んな話をしたものだった。

もし、当時ここを知っていたなら

きっと夜な夜なアクセルを踏んでいただろうと思う。







秋の夕べは、煩わしい羽虫や蚊の姿を見ることもなく

すっかり冷たくなった空気が気持ち良い







軽い腹ごなし程度のグラム数のミスジステーキをスキレットで焼き

食べては眼前に広がる夜景を楽しむ。

アラフィフに差し掛かる胃袋にはこの量がちょうどいい。







カステルメルリーノテーブルの左側に座って見える景色







夕闇を空の色に直接感じ、普段のキャンプには訪れることのない

充足感に満たされる。


ただ、すぐそこに広がる夜景は目の保養になるとはいえ

腹の足しにはならず、さて何か食べようか、と妻。







夜景の綺麗なロマンティックなシチュエーション

数組の近隣らしき若いカップルも時折やって来てはこの景色を楽しんでいた。


そんなカップルの初々しい恋路をよそに…








煙を立てて焼く秋刀魚

食べ終わったら骨煎餅に焼きおにぎりを

刷毛醤油ヌリヌリで香ばしい匂いを

周辺に撒き散らしウマイウマイと

ひたすら食いまくり飲みまくる中年夫婦








きっとカップルたちも空腹になったに違いない。

いつの間にかいなくなっていたのは言うまでもない。







20時を回った頃には、温泉客も落ち着き

静寂が訪れた。







温泉の閉業時間となる21時には入り口にチェーンが掛かり

人の出入りもなくなるとの事、入口にある建物には

強く逞しい番犬が数頭いて大型犬特有の鳴声が聞こえてくる。

安心の夜が過ごせる夜景の名所キャンプという事。

私はウィスキーに切り替え







前回残しておいたシガリロに火を点ける。

間も無く温泉も閉店時間

星空を眺めながら温泉にでも入ろう







福島市内を一望に星空と夜景を楽しみながらの露天風呂

これで日帰りはもったいないなと思った。

景観の良い温泉入浴に価値を感じる事が出来るなら

テン泊する価値と動機は充分ある。

風呂から上がると、夜空には南西方向から押し寄せる雲に覆われた。

星は見えなくなってしまったが、雲に反射し

さらに明るさが増したように感じた。







吹きっさらしのこの立地は、冬季、吹き上げの風や

吾妻山下ろしの風が強く吹く事は想像に難くないのだが

雪景色となっても、道路は除雪が入りアクセスの心配はないらしい。

等圧線の間隔が広く、今回のように良く晴れた冬の時期

きっとまたここに来るだろうと思った。


我が家の冬キャンプ好適地に認定！





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