プルルルルルル

プルルルルルル

いつものように店の電話が鳴った。

「来週木曜日2名で予約したいのですが…」

「ありがとうございます。2名様お席お取りできます」

「こちら宮城県から行くのですが周辺に車中泊出来そうな駐車場とかはありますか？」

「ん？」

キャンプの夜がテーマの肉バルだから

遠方から私達の店を目指してやってくる

そんなキャンパーさんが年に何組かいるわけで

決して珍しい事ではないのだけれど

車中泊でと始めから申し出を頂くのは初めての事

「いずれにしてもキャンパーさんだろうね」

これまでに前例のない予約電話

印象に残るお客さんのご来店楽しみかも

そんな週末を終えてのキャンプ出撃







今年1月以来となる

おしか家族旅行村オートキャンプ場へと

チェックインをした。







初夏のこのキャンプ地の景色が

どんなものか？

前回の冬枯れの景色とは一転







サイトは緑に包まれていた。







この日曜泊は、客足は冬よりもまばらだったのは

意外で、このキャンプ地の一等地とも呼べる

A-1に入場できた。







A-1と言えば、このキャンプ場に

初めて訪れた8年前に居を構えたサイト







昨年12月に7年振りに足を運び

管理人さんと意気投合をして

毎月来ようと決めてはいたのだけれど







予算の都合だったり、その他のキャンプ場との

兼ね合いだったりで四ヶ月も

経ってしまったものだから

ぼちぼち忘れられちゃったかなぁ？

なんて思っていたのだけど

予約の段階で「こむぎちゃん元気ですかぁ？」

という一声を頂き逆に恐縮してしまった。

「ありがとうございます」

そんな管理人さんの勤務終了を待ち

終わるや否やどうぞどうぞとお招きをするのは

もうお約束となったおしか家族旅行村







この日はお休みだったのだが

新しく若い管理人さんが

入社したというのが最近のニュース

やる気もあってキャンプも大好きな若者

現在はランタン沼にハマっているのだとか…

明日朝挨拶に連れてきますとの事

楽しみ楽しみ







近況の報告から始まる会話というと

懐かしい友のような錯覚も芽生え

今回入れてたった三度のキャンプでの会話を通して

関係がキチンと育まれている事が嬉しかった。







赤いリフレクターを背景に

紅蓮の炎を立ち上げ

夜の訪れの準備ができた頃







遠く霞む海に日没を知らせるかのように

夕陽を浴びたタンカーが見えた。







管理人さんからは妻の好物のホヤのお刺身







我が家からは肉全般のお振る舞い。

岩鋳のこのグリル鉄板がとにかく便利で



ここ数回のキャンプ焼肉は

炙り家大将を置いてコイツ一択







ウィスキー二杯ほどで管理人さんは

闇に消えていった。

夫婦二人の時間を大切にしてくれるのは

気遣いのある管理人さんだからこそ







このところのキャンプでは

ハイボールに始まりハイボールで

締めてしまう夜が多かったけれど







やっぱり焚火前はアイラモルトが最高で








このひと時を胸に刻み込む







この頃には妻とこむぎはヌクヌクと幕の中







キルホーマンからのカリラは

そのフェノール値の違いから

順番を間違えたかと思ったけれど

さほど問題はなくピートの余韻に浸る夜となった。







幕に入るとこむぎに椅子を取られてしまい

地べたで残りのカリラを飲み干し就寝とした。







翌朝は曇り、午前中には雨が降り出す予報で

9時前には撤収を完了

撤収中に昨夜話した若き管理人さんが挨拶に見えた。

「近くお店に伺いますから」と。

ピンと来てしまった。







あぁそういう事だったか

そう。

そういう事なんだ。

このキャンプは引き寄せられて

ココにきた…その確信の瞬間。

おしかの管理人Hさんと言えば

車中泊含め外寝1000泊超えの達人中の達人







この週の木曜日に予約を入れてきたのは

何を隠そうこのお二方だった。

そして当日







「持ってきたんです」

と、ランタンのコレクションのご披露があったり

楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

コロナ禍以後、正直なところ客足は頭打ち

完全に伸び悩んでいて、未だ売上は低迷している中

お店の四周年イベントとなったこの週は

そこそこの来客もあり面目躍如







まだまだ諦めちゃいけない

もちろん腐ってなんかいられないと

前を向く事ができたサプライズをくれた二人

キャンプはいつも私達に元気をくれ

こうして今年も喜びの花を咲かせてくれた。

同様に今年も四周年のお祝いを頂いた皆様に

この場を借りて心からの感謝を送ります。







悪いことを考えながら良い結果を期待することはできない。
良いことを考えて悪い結果を得ることはできない。

アンドリューカーネギー

キャンプがあるからまだまだ頑張れる




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