保存版!焚火でとびきり美味いカウボーイステーキを焼いて食う!その全記録

劇団にひき

2017年12月01日 12:03

アメリカ南部、テキサス州にその店はある。

現地に生える樹木(メスキート)を薪にして香りをつけて焼く

カウボーイ直伝の伝統的なステーキが評判を呼び

店は連日客足が絶えないばかりか

オーナーはホワイトハウスで

要人にステーキをふるまうほどなのだとか…







今年7月、NHKでオンエアーされた番組の一節である。

私はリアルタイムではなく翌月にYouTubeでコレを観、こう思った。

なるほどコレはもしかするとキャンプで再現できるのではないか?

そんな疑問というより希望をその瞬間抱いてしまった。

もしそれが出来たなら、最高の食にありつける



それがキャンプ



番組では焚火コンロによるステーキ調理が見どころだった。

「肉にキスをするような火加減がコツ」だとか

「イケる!キャンプ焚火でコレをやってやる!」







小さな誓いを胸にイメージを膨らませ先ずは

燻煙焚火でそれに取りかかった。

きっと我が家のキャンプならば

こんな感じの火加減の筈







だが…そうそう上手くはいかなかった。

番組中しつこく表現される香りがつけられないのである。

使用した薪は楢などの一般的な広葉樹

劇的な香り付けにはパンチに欠けていた。

薫香以外にも焼き方、肉の熟成など様々な工夫が必要だった。

以来、今年はキャンプでステーキを焼きまくった。







色んな事を実践しては脚下し、上手くいっては採用し

試行錯誤を繰り返すキャンプの日々







秋口訪れた吹上高原のこのステーキは輸入牛ながら

感動的に柔らかく仰け反るほど美味かった。

ただ熱源が炉端大将なだけに薪の香りなどもちろんなく

ただの美味いステーキに

「違う めちゃくちゃ美味いけどこうじゃない…。」



番組ではアメリカ南部にしか見られないメスキートの木を

薪に使って香りをつけるとのこと

「日本じゃ手に入らねーよなぁ」

言った矢先に妻がアクションを起こす。


あったーーー!!


え?なになに?







なんとメスキートはスモークチップという姿で

国内販売されていたのである。


いわば我が家にしてみればアレが出来るのスーパーチップ



商品本体にも 「適した食材ー牛肉」 とあった。

即座に右手人差し指が反応しポチることに

ヨシ!役者は揃った!
コレであの味(口にしてないけど)が再現できるに違いない!




思い返せば、2017年はステーキとの格闘の連続だった。







こーーーーんな分厚い肉を焼いてみたり







結局、食べてしまえば相当に美味かったのだが







肉は縮むは肉汁はスキレットに溢れるはで

恐らく美味さの最大値には程遠かったのではなかろうか?

そんなチッポケなこだわりなんて捨ててしまえばいい!

何度もそう思うことにしたのだが…

せっかく妻が仕入れたメスキート







コイツを焚火に放り込みあの味を何としても

(もちろん食べたことはない)再現したい!




実 践 編

焚火台両端に熱を逃がさないための

リフレクターがわりの太薪を置きその間で熾火を作り続ける。







外気温は5℃を下回り熱を奪われれば焚火は鎮火へとベクトルを変えてしまう。

とにかく薪と薪の間に熱を溜め込まなければならない。

両端の薪を五徳にしてこの後、肉が入り

その後は焼き上がりまで15分は火力を維持させたい

炭を使わず…焚火で…だ。







準備は整った。

「さぁ肉よ!美味くなれ!なってくれー!」

肉の脂が熱で熾火に落ちると

火柱が上がった。







コレは上々の立ち上がり

メスキートを熾火に撒き散らす

コレで香りをがっちりつける…ん?

んんんんん?

燃えるだけ 笑

煙りが出ない(当たり前)







チップ状のメスキートは着火剤のようなもの

入れたそばから火がつき肉を焦がし煤をつけていった…

当たり前のことだ

焚火に入れば、瞬時に燃え尽きてしまう

結果、何度も試行錯誤しているうちに

肉はガッチリ火が入ってしまい香りも付かず

大失敗に終わった。



さて、どうしたものか…汗



帰宅して焚火による効果的な燻煙方法を調べる日々が始まった。

すると…コレはうまく行きそうなやり方を発見!







チップは充分に水を含ませて炎に撒くというやり方である。

そもそも薫製器やウェーバーなどの蓋つきグリルがあれば…

簡単に出来ることをあえて焚火だけで完結させる事にこだわりたかった。







なぜなら、それらは常時積載できないからである。

悲しいかな、積載問題は物理であるがゆえ

越えたくても越えられない壁というか

越えれば何かが犠牲になるものなのだ。

その犠牲が酒だったり…

あるいは妻だったりすることだってあり得る 笑



新たな挑戦が始まった。







焚火はパーフェクトな火の回り方

燃焼状態も最高で青火が見て取れた。

コレが完全に熾火になったところで肉を投入







熾火による温熱でユックリと肉に火を入れてゆく。







一面あたり4分程度、火力が強いと肉は縮み

その縮みによる圧で肉汁が押し出されてしまう。

もちろん縮みは最小限に仕上げなければ意味がない。







脂身の多い国産和牛の場合はアクセントとなる

食感を作るために格子状の切れ目(サイプ)を入れておく

焼き上がり後は、3〜4分冷めないようアルミホイルに包む。

これをやる事で肉汁が肉に落ち着き

カット後の皿がドリップだらけにならずに済む。







じっくり火を入れたにもかかわらずこの焼き上がり


感動だった。


ただ…濡らしたメスキートによる香り付けはというと

まだまだ足らない状態

無論和牛なので塩だけで専門店の上をいく味わい

肉汁も潤沢で噛んだ瞬間口中に溢れた…

グラム8,000円以上の味わいトップレベルの旨味である。

ただ、本来目標とするのは輸入牛でのメスキート焼きである。

とにかく輸入牛を天下一品の味わいに仕上げる

この目標のためにこれまで実践してきたことの全てを

こいつに注入だ。







太陽の力を借り、強めに塩を振った状態で天日干しをする。

ガッチガチの干し肉にならないよう30分から1時間程度で完了

旨味成分であるアミノ酸の量が増えたところで焼きに入る







前回の反省を生かしチップは多目に

水気は絞ってから使用とした。







煙りと共にメスキートの爽やかな香りが辺りに漂った。







薫香をよりつけたいならボウル状の物で肉を覆い

煙りがたまる感じにすると良いだろう。







焼き上がりは見事

ドリップも控えめに柔らかく美味い。







かくして、我が家のメスキート燻煙ステーキは完成の運びとなった。

ステーキと言えば、分厚い鉄板や分厚いスキレットで
焼いた物が一番だと生まれてこの方ずっと信じていた。

しかし、焚火による直火調理は香り付けが出来たり
直火ならではの遠赤外線の効果もあり柔らかく
肉を縮めずに焼くことができる。

もちろん熾火を使いこなすというハードルは低くない
ただ、それを成し遂げた時の達成感、無骨であっても
炎をコントロール出来たその喜びは大きく

キャンパーとして大きく成長した自分に気づくことができたのだった。





ま と め

肉の仕込み

強めの塩を振り天日で干すことで短時間で熟成感のある味わいになる

タンパク質分解酵素を持つキノコや果物と一緒に袋に入れ

1日寝かせるやり方も悪くない。







焼き方

スキレットや鉄板の強火でジューーは肉を不本意に縮めてしまい

大事な大事な肉汁を失ってしまう。

出来るだけ中火かそれ以下の小さい火でじっくりと焼きを入れたい。

炎ではなく熾火を使う焚火調理が重要だ。

厚さにすると2センチ程度あればコレが可能となる。

牛肉専用メスキートで薫香をつけるとアメリカ牛は恐ろしく美味くなる。

その場合、チップは一度水に浸け充分に水分を吸わせると

直火に入れても燃えずに香り付けに充分な煙りを発する。







焼き上がったら

面倒でも一度アルミホイルに包み4〜5分寝かせよう。

コレをする事で肉に肉汁が均等に回りカットしても

ドリップが出ない仕上がりーつまりジューシーな仕上がりとなる。

アルミホイルの予熱効果もあり美しいロゼ肉が堪能出来る。




最後に…
この記事を執筆するために結果半年の歳月を費やすことになりました笑
薪と焚火台と焼き網だけで安い安い輸入牛が価値あるステーキに変わります。
一人でも多くの人にキャンプで食べて頂けたなら嬉しく思います。




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