栗の苗木と涙のキャンプ

劇団にひき

2021年01月13日 11:48

かねてよりお伝えしていた通り

令和2年12月をもって

不動尊公園キャンプ場の所長Oさんがご退職となった。

2020/12/08

涙の退任式をお伝えしておこうと思う。







気温8℃ 曇り 年の瀬12月キャンプのコンディションとしては

かなり暖かく雨の心配のない1日。

この日、不動尊公園キャンプ場に集まったのは

令和元年10月の大雨による被災後







このキャンプ場の復旧に尽力を注いだ常連さん一同







流されてしまったテン場に土を入れ

ひたすら整地、点圧をかけ続けた彼らは

いつも和気藹々で仲が良いことが傍目にわかる。

不動尊公園のボランティア活動が

友情と連帯意識を育んだと、そう思っている。







お陰で令和元年のうちに奇跡の復活を遂げ

無事試験宿泊を私達が行い

その後一年の間に第二キャンプ場も全面開放され

もとの活気を取り戻した不動尊公園。




(この日の様子の動画です。私も声で出演 笑)


そんな第一キャンプ場

私達のサイト脇に続々と人が集まってきたのは

管理人Oさんが仕事を終えてやって来たから。







Oさんのご挨拶を皮切りに会は始まった。

「皆さま今日はわざわざお集まり頂きまして…」

第一声に固唾を飲んで耳を傾ける。







ボランティアに尽力を注ぐ彼らとの思い出話の頃には

すすり泣く声がちらほらと響き始めた。

Oさんの目からも一筋の涙がボロっと流れ落ちた瞬間

私の視界も涙でピントが合わなくなっていた。







会は粛々と進行

メンバー皆んなから記念品の贈呈が行われ

有志による所長Oさんの退任式が終わった。







出会いと別れなど語り尽くされた話なのだけれど

どうにもしっくりこないのは

このキャンプ場の今後がどうしても心配だから。

皆んなで力を合わせ点圧をかけ整地した







この第一キャンプ場は聞くところによると

テント場ではなくなり

芝が植えられ公園として開放されるという噂。

被災から二ヶ月間延人数にして数百人もの

ボランティアの手の入った第一キャンプ場が

わずか数台の重機により完全にその景観を

変えてしまう事になる。

テントも張れなくなるとなると

ボランティア皆さんの苦労は徒労に変わってしまう。

2020/12/08

あの日、私達はOさんからこんな話を伺った。







「あそこの小さい木ねぇ私が植えたんだよー」

「秋田の知人からものすごい大きい栗貰って美味しいって言ったら苗木が贈られてきちゃって笑」

「もう二年経つんだけど…桃栗三年て嘘かもねー笑」

指差したその場所には成長途上の木が大事に大事に

支柱に支えられ葉を枯らし冬の休眠期に入ろうとしていた。







人気だった第一キャンプ場20番サイト脇に

数年後、この栗の木が立派に育つ事はきっとない。

沢山の人がキャンプ泊をした思い出が詰まっている事も知らず

ここに栗の木がある事も分からず重機を入れて

再開発されてしまうわけだから。

でも…今後、栗の木を各地で見かける度に

私達はこの日の会話とOさんを思い出すのだと思います。

「Oさん長い間、本当にありがとうございました。」

notes

2021年1月31日をもって
不動尊公園キャンプ場は一旦閉鎖となる。
経営が変わりリニューアルの後、再開予定。
再開の日程は未定。
追加:ちなみに、この時点で従業員だったスタッフ2名は再雇用の口約束が実質反故にされ退職に追い込まれました。
追加2:令和3年2月一杯は第二サイトのみ営業との事。


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