【連載第六話】今季一番の雪景色の朝
「さぁやるかぁ…雪かき!」
そんな掛け声から始まる朝だったが
この日からこの掛け声は毎日繰り返される事に。
テント一周を30分かけて雪をどけまくる。
この作業が定住の雪中キャンプに置いては
欠かすことのできない重要な仕事。
さもないとテントがどんどん雪に埋もれ
テント内は薪ストーブを入れていても
冷蔵庫の状態から抜け出せない事は
北上の豪雪の年越しで経験済み
あの時と違うのは、雪の量がまだまだ少なく
労力的には三分の一程度であること。
しかも二月初旬の雪は、標高のある
エンゼルフォレストではまだまだ軽い粉雪で
吹けば飛ぶような極上の雪質
そんな雪のサイトには直立する猫
その遊び相手の野鳥がいる。
「やんのかコラ」
とでも言っているかの様なこの鳥に
散々翻弄されたこむぎだが
ただただ楽しそうに見えた。
こむぎのこの経験はきっとかけがえないもので
自宅に戻っても雪の日でも風の日でも
毎朝外に出たがるという後遺症を残した。
薪ストーブにコロダッチが入り
ジャガイモを蒸し
いつものバターとイカの塩辛を
載せるやつを楽しんでいる矢先に
こむぎはガイロープにとまるアイツを
目で追っていた。
こんなに近くに鳥達がやって来るのは
薪ストーブのお陰様
暗くなり、メインテナンスしたての
プレッシャーランタンを灯す。
ヴァポライザーを取り替えたばかりの
ランタンが眩しく輝き
この日の夜が始まった。
キムチ鍋を囲む夜
雪夜の鍋は最高だ。
明けた朝は圧巻だった。
一面の雪 雪 雪
二月の風のないマイナス気温に積もった雪
この雪景色は、これまで私達が経験した
雪中キャンプの朝の中で最も素晴らしい朝だった。
その美しさと言ったら…
言葉になんかできなくて
スマホを片手に写真を撮りに出てきた
お隣のサイトの仙台から来たという
デュオのキャンバーさんと話が弾んだもの。
そんな美しい雪景色の朝
再びお友達を見つけてしまったこむぎ
挑発されて飛び出したけれど
あまりの寒さと雪の冷たさに
テントの中にとんぼ返りだった。
すぐそこなのに届かない
この地の鳥達は本当にこむぎの良いお友達
だって遠くに逃げずに
いつも直ぐそこにいてくれるから
長期定住雪中キャンプ11日目にして
迎えた雪景色美しい朝は
雪だらけの幸せを後にも先にも
最も素敵に感じられた美しい朝
雪中キャンプをするようになって随分経ったけれど
こんな朝を経験してしまったら
雪のないフィールドでのキャンプは
考えられないとさえ思ってしまう。
そりゃあ雪かきは大変だけど…
撤収の心配はまだまだ先の定住の朝
これだからキャンプはやめられない
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