誰もいない営地にたった一人、風と闘う設営おじさんソロキャンプ

劇団にひき

2021年03月15日 11:30

夜半過ぎから吹き始めた風が

猛威を奮っていた。

自宅が揺れているんじゃないか?

そんな錯覚があるほどの二月暴風の夜

天が吠えているかのような風音に

自宅ベッドの中で何度も起こされたもの。







翌朝、天気はすこぶる良く気温は二月とは思えない

10℃超えの暖かさだが昨夜の名残りの風は

変わらず残っていた。

そんな風の心配に加えここ数日食欲の落ちていた

愛猫を気遣い妻はこの日の出撃を断念

「一人で楽しんでおいで」

実はこの日は新幕を手にしたばかり

初張りをするには風を除けば絶好の日和でもあった。







そんなわけで約一年ぶりのソロ出撃

場所は福島県 川内村いわなの里 芝生広場

久々の新幕デビューキャンプ

とある方の思い入れの詰まった幕

ビンテージフルコットン メサージ

ビンテージ幕を扱う業者サイトではメサージュと

発音表記されているメーカーだが、前オーナーからは

メサージと伝えられたのでメサージとする。

ビンテージではないリアルタイムで

英国の友人から譲り受けたと聞いたからだ。







内陸ならば幾分風も弱まるかと思っていたが

その猛威は現地に着いても全く変わらなかった。

いつもの管理人さんはお休みで取り急ぎ

電話のみで受付を済ませ設営に取り掛かる。

どうやら今夜は完ソロ確定のようだ。







小ぶりな鉄骨を一つ一つ組んで行く。

前オーナーは約40年前から

舶来のフルコットンテントを所有し

特別なキャンプをしてきた方

燻製が得意で当時のTV番組の

1コーナーに特集を組まれた程の

腕前の持ち主だった。

40年前と言えば私が少年時代のこと

林間学校でクタクタのA型テントを

クラスメートと四苦八苦して設営し

雨除けの溝掘りを一生懸命にやったにもかかわらず

大雨でテント泊中止、毛布の端をきっちり

合わせて畳まないと何度も畳み直しを

させられた悪夢のようなトラウマキャンプを

思い出すのだが…

そんなスパルタ教育的キャンプを

私が体験している傍ら

彼は同時期にレジャーとして

きっと楽しいキャンプにどっぷりと

ハマっていたのだろう…

そんな事を想像しながらの設営に。

しかしながら風のため過去に

類のない悪戦苦闘の連続だった。







幕のコンディションは最上レベル

まるでデッドストックかと見紛うほどで

これまで二幕のビンテージを所有してきたが

これまでの幕がどれだけコンディションの悪い幕だったかを

改めて思い知らされた気分だった。

一方でキャンプ地は風でコンディションが最悪







取り急ぎ立ち上げフルペグダウン手前まで設営し

重大な初歩的ミスに気付いた。

風に煽られながらの設営で手順を飛ばしてしまい

チャームポイントである庇(ひさし)の短いポールを







入れ忘れてしまっていたのである。

これは痛恨のミスで後方の殆どのペグを

抜かねばどうにもならない凡ミス

ペグを抜くとテントは風に大きく煽られ

その圧で私を巻き添えにテントごとひっくり返る始末

キャンプ場全体に風が巻いていて

全方向から風を受けている状況に終止符を打つべく

二度の場所変えを行う事となった。







美しいビンテージを壊すわけにいかないし

汚したくないその一心だったのは言うまでもない。

取り急ぎ先にギリーネットを設営してしまって

一方向の風を緩めてテント設営という

手間のかかる手順を踏む。







この作戦は大成功で、最も強く吹く方角が

何とかなったため、以後落ち着いて

設営に専念できるようになった。







その後、真後ろの土手からの風圧に

押されていた大きな背中部分の真ん中には

多段階に長さ調節のできる

ハイランダータープポールを入れて骨を増やす事に




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