滝汗の設営、脱水症から妻を救った函館名物 北海道キャンプ旅 act 2

劇団にひき

2019年08月19日 12:33





函館湾を左手に臨みながら

一路、北斗市のキャンプ場へとアクセルを踏み込んだ。

知らない土地、初めての道は緊張を伴うものだが

天気と驚くほど広い道幅のお陰でそれは半減

カーブも少ない気持ちのいいドライブルートだった。







途中にあるスーパーで最後の買い出しを終え

日帰り温泉で汗を流した後のキャンプ場到着。

もう動かなくていいという状態での入場とした。







北斗市 『きじひき高原キャンプ場』である。

函館近隣でいうと東大沼キャンプ場か

ここの二択が候補に上がっており

東大沼は湖畔キャンプ、こちらは

平野を挟んで函館山の向かい側の山となり

俗に言う『裏夜景』が楽しめるのがポイントなのだそうだ。

湖畔のキャンプはこの後も控えていたため

きじひき高原に軍配が上がったのだが

気温を考えると高原一択







管理人さんと情報交換をすると

この日は年に2、3度あるかないかの猛暑日だとの事。

「こりゃぁ設営は骨が折れそうだ」

空気は澄みきり快晴の空

場内は緑が眩しく明るい印象で申し分なし

赤い屋根と白い壁がシンボリックなバンガローが可愛いのだが

目指すサイトに可愛げな印象は持てない。

荷運びが途轍もなく大変なのだ。

サイトは大きく分けると3ヶ所に分かれており

オートキャンプができるバンガロー北のサイト

もう一つは駐車場周辺の芝生サイト

そして我が家が目指すイベント広場サイト

バンガロー近くのサイト以外は車の乗入れは出来ず

リアカー運搬となるのが最大のネック。

ただ、函館の裏夜景を楽しもうと思ったなら

ここの最奥地一択となる。

覚悟はできていたつもりだが

この日の気温が躊躇わせた。







取り急ぎ、小さいリアカーに収まる分の荷物を積み

後は、小間物を手運びという段取り

サイトの選択は妻に一任されていたため

私が独断で決めることにしたのだが

この坂が我が家の荷物重量を考えるとかなり手強い。







登ってからも目的地は相当距離がある。

実は全景が見渡せるこの地点に来て

この距離にかなり引いたものだった。

諦めてこの周辺で妥協しようかとも思った。

息はゼイゼイ、汗は額を伝って目に流れ込み

そもそも爆弾を抱えていた膝は

悲鳴をあげ出す状況に加え

ヘルニア由来の腰痛が発生していたのだったのだ。







気温だけが誤算だなぁなどと呑気にスタートしたものの

自分自身の体力がそもそも追いついていない

現実を目の当たりにする設営となった。

ここまで来て無論妥協はできない。







熱を溜め込みやすく暑さに弱い妻が気掛かりでもあった。

だが、ヴィクセル一幕で挑んだサイトが形になってくると

えも言われぬ達成感を得ることに…







「頑張って良かった」

心からそう思ったものだった。

ただ妻の顔を見ると、どうにも顔色が優れない。

「乾杯、乾杯!」

どう見ても調子の悪そうな妻に急かされた。

夕暮れが間近に迫っていたせいだ。







いつものランブルスコの栓を抜き







妻に手渡したが、やはり妻の顔色は

ワインどころじゃなく景色どころじゃない様子

どうやら脱水症状に見舞われているようだ。

考えてみれば温泉で発汗したまま

水分補給せずにこの激務の設営である。

真夏の設営はこういう所が最大のリスクだと思い知った。

先ずは水分を摂らせるがこれだけでは

頭痛や嘔吐感はなくならない

そこで口したのは函館駅ニ市場で仕入れた

塩数の子である。







塩抜き無しのコイツが劇的に効いた。
(めちゃくちゃ美味かったし笑)

発汗により失われるのは水分だけではない

塩分の補給こそ、こんな事態の救世主である。







妻の体調はみるみる回復しているようだった。

ランブルスコを飲むペースでそれを実感した。

それでも一杯が限度。







北海道キャンプが目前に迫った数日前

ウィスキーの発注をした。

「キャンプに持ってくやついつものでいーの?」

妻が気を利かせて背中を押してくれたのだ。

北海道でウィスキーと言えばニッカの余市

近年、厚岸のモルトがマニアの間で話題になっているが

どこまで行ったってこの国にウィスキーを土着させ

文化にしたのは竹鶴政孝氏だと私は思っている。







その竹鶴氏が学び修行し技術を持ち帰ったのは

スコットランドのキャンベルタウンからだった。

禁酒法時代に粗悪な商品を出し過ぎ

その時代の終わりには市場から弾かれ

今では蒸留所の数も一握りとなってしまったのが

名門エリアだった キャンベルタウン

そのモルトを初日に絶対飲もうと決めて購入し




ここに持ってきた。

それが私の竹鶴政孝氏への敬意。







勿体無いからいつものジョニーも持参したけれど笑

キルケランを口にして様々な発見と感動が押し寄せた。

「コレはニッカの味わいに近い」

これまでキャンベルタウンと言えば

スプリングバンクを試飲したぐらいだったが

じっくりと飲み味わってみると押し寄せるニッカ風味

明らかにニッカが目指したのはこの味であるという確信があった。







舌に自信があるわけじゃないし思い違いかも知れない

しかし、甘さと香りに共通する余韻がある。

北海道、きじひき高原でニッカのルーツに出会う

そんな気分だった。







最近キャンベルタウンモルトの代表格である

スプリングバンクが品薄になっているのは

もしかすると、ニッカのモルトが「マッサン」以降

手に入りづらくなっているせいかもなぁ

そんな事をしみじみ感じたきじひき高原







この営地の醍醐味がこれから始まろうとしていた。





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