皆んなが知らない昔のテントでコッソリキャンプ
五月と言うと、カラッと晴れて気持ち良い日差しに
ようやく夏の暑さを思い出す時期でもあり
街では運動会が開催され、太陽の下に人々が集う
そんなイメージがあるのだけれど
今年の五月、特に私達のキャンプ日は
どうやら雨に祟られていて
この日もどんより分厚い雲が空を覆い
いつ降り出すか分からない雨予報の一日だった。
そんなGW後一発目のキャンプ
今年、とにかく応援したいキャンプ地
飯舘村 村民の森あいの沢キャンプ場フリーサイトへ
今シーズン三度目の設営を完了した。
このキャンプでは
テントのメインテナンスからがスタート
経年劣化で硬化してしまったテントゴムを
全て外し、新たなゴムに取り替えた。
純正の生ゴムは高価なので…
使用した交換ゴムは自転車用の荷物固定用 笑
実は最も安価で耐久性も高い好適品
ビンテージ幕を持つ人は覚えておきたい裏技だ。
この幕でのキャンプは実は二度目
キャンプ歴40年超の大先輩から
使ってくれる人を探して欲しいと送られてきた幕
前回設営は昨年12月だった。
とにかく寒い日で、設営時にテントゴムが
ブチブチ切れ半分ほどしか
ペグダウンできない状態での幕営だった。
風がなかったのが唯一の幸いだったけれど
夕刻には予報になかった降雪があり
それでも快適に過ごせた優秀な鉄骨テント
現存する個体は決して多くない。
この幕の名称は
オーナーロッジダイプ76
1984年発売
近年のキャンパーでこの幕を知る人は
ほんの一握りだと思う。
私の歳で言えば15歳の頃のテントである事を鑑みれば
リアルタイムで実物を所有するオーナーは若くても
60代以上の大先輩達という事になり
当時の小学校の林間教室では
コテコテのA型ツェルトを溝掘をして使っていた
そんな時代の代物。
キャンプ先進国だったヨーロッパのメーカー品は
防水処理した糸で編み込んだコットン生地を使用し
百貨店に並べられ販売されていたと聞くが
そんな憧れのヨーロッパ製フルコットンまでは
手が届かないキャンパーが当時の国産最新テント
として購入していたのがこのオーナーロッジシリーズ
であると認識している。
当時のメーカーの解釈は火気厳禁ではなく裸火御注意
キャンパーのレベルが今より高かった事が伺える
貴重なワーニングノート
40cm以上ある庇は非常にありがたい長さ
これ一つとってもいいテントだなぁと思う。
私の貴重なテントコレクションの一つとして
手元に置いておきたい気持ちもあるのだが
現在、我が家の倉庫(キャンプ部屋)には
15張りのテントが出番待ちで控えており
年間約50回の出撃を考えた場合
年に一度も使わずタンスの肥やしになるというのは
可哀想な感覚がある…つまり道具というのは
使ってなんぼ、デッドストックでない個体は
使われて天寿を全うするのが1番と思い
このキャンプを最後に嫁に出すつもりでいる。。
かつてこのテントがどんな場所に設営され
どのようなキャンプで使われてきたかを
知る術はないけれど、大事にされてきた事は事実。
39年という時を超えゴムパーツの交換だけで
2023年の今、道具として変わらず存在している
ある意味、驚異的な耐久性をこのテントに与えた
小川という会社の凄さに頭が下がる思いだった。
5月なかば、時折小雨のチラつくあいの沢は
野鳥の声が響き渡っていた。
物置きとして使われている木造の建物の壁には
無数の板が打ち付けられていて
それがまるでデザインであるかのような
雰囲気と味わいをまとっているが
恐らくキツツキによって開けられた穴を都度都度
塞いでいった結果だろう事は直ぐに察しがついた。
こむぎが何か言いたげな顔で私を見ている。
これはお散歩のサイン
誰もいない広大なフリーサイトを
目一杯リードを長くして探検させる
一方、だいずはというと…
この日の寒さから、妻の膝掛けにくるまって
丸くなっていた。
縄張り意識の強い雌のこむぎと
縄張り意識ゼロの雄のだいず
普通は逆なんだけどなぁ笑
GAOさんの新しい焚火リフレクターが
非常に良い仕事をしてくれていた。
標高でいうと500〜600mのエリアである飯舘村は
この時期、まだまだ寒暖差は激しく
この夜はリフレクターなしではタープ下で
過ごす事もままならない気温となった。
この設営を最後にと思うと愛おしくなるから
人間って厄介だなぁと思いつつしみじみと
テントを眺めた。
当時、小川というメーカーが
高温多雨多湿の日本の気候にどのように
アプローチしていたかがよく分かるテントだと思う。
吊り下げのインナーには前後にモスキートネットが
装備されアウターフライは前は全開放
後方は中央にジッパーが備わり開放可能となっており
いかに風通しよく作るかという事に力を注ぎ
設計されたかがよく分かる。
同時代の私の所有のフランス製マルシャルは
フルコットンという通気性の利点だけで
風通しのためのモスキートネットという装備はない。
知ってるからこそこのテントの良さも
十分に理解できるとそういうわけだ
39年前の仕様ではインナーテント上部に
ランタンフックという装備はなかった。
こういう時は鉄骨テントの利点を活かし
鉄骨に磁石でつくLEDランタンを装着
現代の道具の代表であるLEDがビンテージと
クロスオーバーするという鉄骨テントの良さの一つ。
雨は夜間も降ったり止んだりを繰り返し明けた朝
雨は小休止の状態だった。
お天気レーダーで確認すると二時間後に
また降り出すとの事。
昨夜の残り鍋をつつき簡単な朝食として
急ぎ撤収作業を開始した。
風に強く強靭な鉄骨テント
今や絶滅危惧種のテント種類でもあるが
現行の小川のラインナップには
オーナーロッジタイプ52rが、大きさこそ
二回りほど大きくなってそのDNAを繋いでいる。
39年前のオーナーロッジは現代の宝であり
今回の補修でこの先まだまだ使えるテントとして
生きながらえる事になる。
次の行き先は、おしか家族旅行村キャンプ場の
管理人Hさんの元。
どうかしまいっぱなしにする事なく
使い倒し多くの思い出をこのテントに
刻んでくれたなら本望です。
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