自粛を行なってから1ヶ月半が経った。

そろそろ自粛も佳境ーそんな面持ちであり

ぼちぼち重い腰を上げる頃合いが来たように思う。

何せ、仕事も自粛状態にあり何もせず

時間というものに正面から向き合う日々だった。







人の一生は過ぎてしまえば実に短いもので

あっという間だった感がある。

この間、我が家が例年通うキャンプ地である

不動尊公園や神割崎、あだたらに加え日山と

次々と営業自粛となり本来であれば長い冬が終わり

これから行く先が増える時期だというのに

足を運べる場所自体がなくなって行った。

こうなると自宅で過ごす時間の価値について

考えざるを得なかった。







ただ、食っちゃ寝するだけでは余りに能がないわけで

ギアのメンテナンスを行うかたわら







いつものおうちキャンプでもするかと

バルコニーに道具一式を並べてみる。







何年も時を共にした道具たち。







見上げた空には電線がかかっているけれど

自宅であっても外の空気はやっぱりいい。







午後三時の日差しは柔らかかったけれど

冷たさも混ざり始める東北の四月







一番小さなテントを設営してみたりして







まだ見ぬ景色ではないけれど…

キャンプ感はそこそこ出ていたかも知れない。







昨年妻が購入したムーミンランプのケースを



シングルモルトクライヌリッシュ14年の

入れ物で作ってみる。







厚紙で出来た筒をランプ全高に合わせてカッターで切るだけ

以前にも同じ物を作ったのだが紙製なので雨に濡れて

ぼこぼこになってしまっていた。

これで再び元通り。







次に取り掛かったのはジッポーの改造







本ブログにおいて私個人のジッポーの登場は初めてだが

愛煙家の私はこれまでの人生で何個もジッポーを所有してきた。



過去形なのには理由があって

まだ学生の頃からジッポーに関しては

何個も何個も使ってきたのだが







たいていがいつのまにか失くしてしまう

酒に酔っては失くし

勝てば舞い上がってパチンコ屋に置き忘れ

そんな事を繰り返すのだが個体は減る事はなく増えてゆく。

失くすのが勿体無くて、遂には使わなくなってしまった。

袖を通さなくなった古着のポケットをまさぐれば

たいてい一個は見つかる…

そんな感動のない道具に成り下がっていたのが

過去20年の私とジッポーとの関係だった。

不思議と使わなくなってからもその個数は

減る事はなく…と言ってもコレクターというわけではない私は

無造作にそこかしこに転がしていたという状態だった。

そんな中、時は変わり世界的な禁煙ブームとなり

ジッポー社も売上げを落としているかと思いきや

実の所、さほど製造量は変わっていないと耳にした。

そもそも世界中にコレクターが存在し

喫煙道具のみならずキャンプなどでの使用で

非喫煙者にも広く使われ続けていたわけである。

思い返せば、これまで出会ったキャンパーの中にも

タバコを吸わないジッポー持ちは何人かいた記憶がある。

そんなわけで今後、手持ちの古いジッポーを使っていこうと

一念発起する事になったのだが

私にとっての使わなくなるそもそもの元凶を

断ち切っておこうと思ったわけである。

そういう意味でいうと今回は改造というよりも装飾に近い。







失くさないためには携行ライターとしての価値にプラスアルファ

何がしかの工夫が必要だと考えた。

そこで登場するのがいつ購入したものか貰い物かすらも分からない

ジッポーロゴのないレプリカのオイルライターである。

日本製のバッタもんだが…こいつ…

日本製なだけに気が利いていて

この手のオイルライターの外見的特徴である

外ケース上蓋の可動式連結部品に

金属製のループがちゃっかり付いていたである。







本家ジッポーライターにおいて…もしかすると

リリースされている可能性がないわけではないが

大して詳しくない私には実に珍しく頼もしく見えたものだった。

「コイツは使える！」な … と。

ここにランヤード的にパラコードなりカラビナなりを

取付け出来るようにすれば見た目も変わるし

失くす確率は随分と少なくなる気がしたわけである。

もちろん、インナーケースについては

伝統のジッポー社純正品に入れ替えて使う。







編み込みはスネークノットとダイヤモンドノット


下記の動画を参考にさせて頂きました。




海外ではモンキーフィストなどとも言われる丸結びが特徴。


こちらの動画も分かりやすいです。




何回か結びを間違えやり直したり

バランスを調整したり

編み込みの時間はややこしいのだが

実に楽しく充実した時間となった。

性格的にこんな時にしか絶対にやる事はないし

こんな時だからこそ。







その昔、尊敬する先生がこんな事を言っていたのを思い出す。

「人生には二つの時間がある」と。

一つは目的や目標を達成するための時間ともう一つは

時間を楽しむための時間

キャンプにおいて私が重要視してきたのは後者であり

考えるまでもなく『それがキャンプ』の真髄である。

気付けば私の悪戦苦闘を見かけた妻が

使わないガイロープでブレスレットの編み込みをしていた。







もちろん編み物を得意とする妻には造作のないアクティビティである。



暖をとるために薪ストーブに火入れを行い

ついでに調理もするわけだが…

ただ単に暖をとるためならばファンヒーターに灯油を入れ

スイッチを押すだけで本来は目的は成し遂げている

ところが、薪ストーブに火を入れるという行為自体

実はそのものが時間を楽しむための行為であり

暖をとる以上の価値がそこには確かに存在する。

同様にキャンプをする事を目的目標にすると

成功だとか失敗だとか…

そんな考えなくても良いことにとらわれてしまうものだけど

キャンプの時間を楽しもうと思えば、

場所の選択、計画を練るその行為すら充実してくるものであり

成功だろうが失敗だろうが楽しく充実感はひとしおである。

どんな景色に身を置こうか？

そこでどう過ごせたら最高だろうか？

いつしか思考から変わっている自分に気付く。







無論、ただ火を点けタバコを吸うだけならば

ジッポーを選ぶ必要などなく

SOTOのスライドガストーチで用は足りるけれど

カチャ キーン シュポッ ボッ そしてまたカチャ

火を点けるという一連の動きに伴う

あのアナログの金属音作動音は煙草に火を点ける以上の

満足を与えてくれる…

この事実は今後のキャンプをより一層

楽しく充実した時間にしてくれるだろう。







これは自粛の時間が思い出させてくれたもの。

自粛だと思えば謹慎中のような鬱蒼とした気分になるけれど

リフレッシュだと思えばこのような時間が

我が身に訪れることはそうそう無い。

人生において、本来、無駄な時間などはなく

時間を生かすも殺すも自分の心持ちと

人生へのアプローチ次第である。

キャンプの時間が心から有意義なように

【STAY HOME】の時間を有意義なものにすると言うのは

いつも何かしていないと不安になってしまう

日本の教育と社会に染まりきった日本人には難しいかも知れないが…。







春の鳥たちの囀りに耳を傾けたり

庭に増え始めた雑草の中にタンポポが無数に花開き

雑草の除去を躊躇ったり

土いじりしながらミントを摘んでみたり

時間そのものを楽しむ暮らしのスタイルに気付くことが重要だ。







ふと見上げた空が夕刻のものに変わっていた。









自宅バルコニーから眺める夕陽も

捨てたもんじゃないな と思う瞬間だった。







だって今日一日はとにかく余りある時間を

心から楽しめていたから


それがキャンプ




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